「庭のグランドカバーは雑草でいい。」
との名言を語ったのは、かの柳生博さんですが、そうはいっても住宅地ではね〜。八ヶ岳とは違いますよね〜。と思われる方も多いのではないでしょうか。
確かに植生は違います。町場の雑草達の繁殖力は半端じゃありません。
私自身も(ちょっと)そう思っていた節があるので、試しています。
スタジオ(沢渡の家)の庭は雑草がグランドカバーです。
ところどころ「ヤブラン」や「フッキソウ」、「ギボウシ」等雑草でないものも人の手により植えられていますが、それらは極わずかで、ほとんどが雑草と呼ばれる草たちです。
こんな感じ。
悪くないでしょ?
何もない場所、コンクリートで固められた場所にシンブルツリーが1本というような景色に草が生えてくると、「荒れてきた」という印象も持たれるかもしれません。でも樹々が生い茂るところに草が生えてきても、それが当たり前の姿ですから気にはなりません。
私は住宅を計画する時住まい手に、
「頼まれなくても庭も計画していきますんで。」
と宣言をしています。そんなことが功を奏してか、最近は逆に住まい手から
「庭も提案してくれるんでしょ?」
と聞かれることも増えました。
でも「庭」といわれると「手間がかかる」と不安になられる方が多いのも事実です。
でも庭を「つくろう」、「維持しよう」と思うと手間はかかりますが、「育てよう」と思えば気が楽になります。植物はゆっくりではありますが姿を変えます。生えてくる草の種類、様子も毎年違います。何年かして傾向がわかれば付き合い方もとても気楽になります。
「自分が好きではない種類の草だけ間引く。あとは抜くのではなく気になったら刈る」
この行為だけで大丈夫です。この行為こそ柳生さんの言われる
「美しくないもの(だけ)を取り除く」
行為なのだと思います。
雑草と言われる草も、実はとてもきれいで可憐な花を咲かせてくれます。
いつもは花を咲かせる前に除草されてしまうので、皆さん気づきませんが、ちょっと辛抱して花を咲かせるまで観察してみてください。
そうすると「雑草」と思っていた草が「野草」と思えるようになります。「野草」なら愛着が湧くのではないでしょうか。
「庭」=「手がかかる」
ではなく、もっと気楽に
「庭」=「(ちょっとだけ)手をかける」
という感覚で付き合っていけたら、生活はもっともっと豊かになると思います。
「グランドカバーは雑草(野草)」
是非、騙されたと思ってやってみてください。
ホームセンターで園芸種のポットを買ってこなくてもいいし、勝手に生えてきてくれますからとても安上がりです(笑)。枯れてもショック受けないし。