Facebookでは書き込みしましたが、昨日三重県熊野の野地木材さんに材料検査え行ってきました。
事前に聞いていた工程では、熊野への所要時間は5時間程。
いやはや遠い・・・
で実際は3.5時間。
さほど遠く感じませんでした。
近日中に高速が延び、冬にはさらに延伸されるということです。そうすれば名古屋からおよそ2.5時間。近い近い。
さて、工場見学の前にちょっと観光。
獅子岩
花の窟神社
熊野は巨石信仰(宗教として成立以前の土着的な信仰)があり、古事記以前から様々な信仰のある土地です。
獅子岩は今の神社でいう狛犬の役割で、花の窟神社は伊弉冊尊(イザナミノミコト)と軻遇突智尊(カグツチノミコト)を祀る神社です。
社殿がない、有史以前の形態をとどめている神社でもともとはお墓だったようです。
ちなみに伊弉冊尊は伊弉諾神(イザナギ)の妻で軻遇突智尊のお母さん。伊弉冊尊は軻遇突智尊を産んだ際に亡くなり、軻遇突智尊はそのせいで父である伊弉諾神に殺されるというかわいそうな運命にあります。そして伊弉諾神は皇祖神であり天照大神やスサノオのお父さんでもあります。
日本史専攻で日本史大好きの私は大興奮。神々の名前は正直難しすぎて覚えることは困難ですが、古事記は読んだことがあるので何となくわかります。
古事記は日本最古の歴史書とされていますが、実はのれよる古い文献もあるのだそう。そこには漢字以前の日本古来の文字で書かれており、写しが存在しているとか。そちらも是非読んでみたいものです(あくまで現代語訳で)。蘇我氏や物部氏といったなじみのある豪族とのつながりも聞けて大満足。
本題に戻ります。こちらは乾燥前の散水養生。乾燥機に入れる前に散水をして表面の含水率を上げておくと、乾燥機に入れた時にマイルド?に乾燥が進むのだそうな。これは初めて見ました。ちなみに野地木材さんはドライングセットを行っている人工乾燥+自然乾燥のハイブリッド乾燥材を提供しています。
木材市場。桧と杉が主です。熊野は桧4割、杉4割で、東隣の尾鷲は桧の割合がぐっと多くなります。対して西隣の紀州は杉が多い。
熊野材の年輪。目が詰まっています。
今回の材料。若干含水率が高い材が何本かありましたので、それらは交換を指示させていただきました。仕上げ挽きがされた時の色がどのようなものになるか楽しみです。
また野地木材さんは、床暖房対応のフローリングを供給するため、工場内に実験小屋を建てられ、実際の材の収縮等を実測しデータを取っていました。その結果板目の杉板でも床暖房に対応するフローリングを提供できるとのこと。こういった取り組みをしていることに頭が下がりますし、たいへんうれしいです。
野地木材さんの本社工場は1昨年の豪雨で土砂ダムとなった地域にあります。
工場の上流、下流で土砂崩れが起きましたが、奇跡的に野地さんのところは被災を免れたようです。まだ道路が復旧しておらず、通常なら市街地まで数十分のところを(応急復旧の道路で)迂回して1時間ほどかかります。あの年は東北以外にも、紀伊半島、長野県栄村でも大きな災害がありました。こちらも忘れてはいけない出来事で、1日も早い復旧を祈ります。
今回、野地木材さんとは初めてのお付き合いとなります。
造作材も含めて、1棟まるごと熊野材での家づくりとなりますので、どのような表情になるのかとても楽しみです。
熊野といえば・・・
そう、花火です。
夏に再訪問・・・(笑)なんてことも考えながら熊野をあとにしました。
今後ともお付き合いが楽しみな産地にまた出会いました。
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