夏ごろ依頼していた木の器がやっとこさ手元に来ました。
木の器の製作を依頼するきっかけになったのは「大府の家」の木材検査で、松阪のプレカット工場へ行った時、置かれていた欅の端材をもらってきたことでした。
もらってきたのはいいものの、どうしたものかと思案していたところ、アカデミーの工房には旋盤があり、ものづくり研究会の学生は旋盤で器を製作できるのを思い出しました。早速アカデミーに連絡し、器の製作を依頼するならどの学生がいいかをリサーチ。そこで推薦された学生に依頼することになりました。
これから紹介する写真は全てその学生、ものづくり研究会 猿谷さんが製作してくれたものです。
これは私が支給した欅で作っていただいた茶碗。漆を塗ってくれました。欅は匂いがつよく、温かいものをいれると匂いがさらに強くなって、食べ物の匂いを邪魔してしまうといけないので、猿谷さんが機転を利かせて塗装してくれました。木目も生きていて、素敵です。子供用に少し小さめにしていただきました。
欅で出来たのは実はこれだけ。端材には割れが入っていて、うまく木取りが出来なかったようです。
こちらはキハダという木でつくられたサラダボウル。これも漆が塗ってあります。果物トレイとしてつかってもいいですね。
これはカバで作っていただいたシチュー皿。木の塊をくり抜いたような形がよくてオーダーしました。持ってみると器の重さ、厚味が手に感じられ、とてもうれしくなる器に仕上がりました。こちらの塗装はオイルフィニッシュ。
こういった厚味のある木の器は集製材で作られているものが多いのですが、無垢の木の塊から削りだされたこの器には集製材にはない質感・存在感があります。
そして次の写真は猿谷さんには載せないでといわれたのですが、お気に入りなので載せちゃいます。
右はシチュー皿の製作の為に試作してくれたものをいただいてきました。こちらの方がエッジがきいています。これも好きです。
左はトレー?といったらいいのでしょうか。打合せの時に置いてあり、気に入ったので無理を言っていただいてきました。二つとも未塗装なので、オイルを塗ろうと思います。
今回手元に来たのは合計8皿。依頼してからずいぶん時間が経ちましたが、待った分満足感は高いものになりました。
量産品を買った時にはない満足感です。これらの器は世界にひとつだけしかなく、しかも私の為だけに製作していただいたものです。これ以上の贅沢はないでしょう。
猿谷さんありがとうございました。
世界にひとつだけのもの。私の設計している木の家も、住まい手の為だけのオンリーワンの木の家です。
器と家では大きさ、用途は違いますがオンリーワンだという点、ゼロから創り上げるという点では全く一緒です。今回私が感じたような満足感を住まい手に感じてもらえるように、一つ一つ大切に設計をしていきたいと深く思いました。