先日、「高台の家」の引渡しをさせていただきました。
引渡し前は、家具の搬入、エアコンの移設や岩為さんに撮影をしていただいたりして1週間の半分以上はずっと現場につきっきりでした。
毎度のことですが、1年以上の時間をかけて、職人さん達とともに創り上げてきた愛娘です。引渡しは安心するとともに、とても切なくなります。
この心の震え?はずっと続くのでしょうね。
それだけいいものができたという証なのでしょうか?
依頼をいただく前までは、依頼してもらえるかと不安になり、
依頼をしてもらえれば、いい案が出てくるかと不安で眠れず、
案ができれば気に入ってもらえるかとこれまた不安になり、
(自信があっても)
着工すれば、無事竣工するかと不安になり、
竣工すれば、寂しくなります。
こんな感じでいつも心のどこかで不安や寂しさを抱えながら仕事をしています。
もちろん不安・寂しさだけでなく、やる気(意欲)・希望といった能動的な気持ちも同時に持ち合わせてはいるのですが、基本どちらかというとポジティブな人間ではない(誤解を招きそうで怖いですが)ので、こういったどちらかというとマイナスと受け取られるような気持ちが大きくなることがしばしばあります。
だからこそ、しっかりと図面を描き、打合せを行い、慎重に慎重に物事を進めているわけですが、建築は私一人で創り上げるものではないので、私一人の努力でどうこうなるほど単純なものではありません。
だけれども、もっと気持ちを強く持って取り組まねばと思うのですが、引渡し直後のこの気持ちばっかりは仕方がないですね。
引渡しはしたけれど、まだ残工事が残っていますので、気を引き締めなおして取り組まなければいけません。残工事が終わっても、完成するわけではありませんしね。
住宅はずっと未完成です。
生活が始まり、変化し、成長し、醸成されていきます。
そこで人が生活を続ける以上、ずっと未完成です。
「木の住まい」はそれが顕著かと思います。
新建材の家より手はかかりますが、醸成の濃度は格段に違います(そう信じています)。
私たちは決して完成することのないものを創り続けていくのでしょうね。
ロマンチックではありますが、とても過酷でもあります。
やはり気持ちを強く持たないとやってられないですね(笑)