私のところでは住宅をつくる時にさまざまなツールを使用しています。今日はそのいくつかを紹介します。
まず住まい手に要望や現在の住まい方を書いてもらうヒアリングツールの「住まいメモ」。
改修の時には住まいメモの改修バージョンを使います。
それとアカデミーの卒業研究で作った「既存住宅改修設計ツール」。これは事前調査から詳細調査、概算予算を簡略化した超概算予算作成データ、住まい手に調査結果をわかりやすく説明するための報告書作成ツールまでを網羅しているもの。
まだいくつかあるのですが、それらのツールに最近新しい仲間が入りました。それは「住まいのお手入れ手帖」。
私のつくる住宅は基本的に自然素材でできています。自然素材は付き合うのが大変なのでは?と不安に思う住まい手のために、イラスト入りで簡単なメンテナンスの方法などを説明するためにつくりました。つくりましたといっても基はアカデミーの3期生、舟木さんが卒業研究で作成したものに手を加えたもの。私がよく使う材料の特性やメンテナンスの方法をわかりやすくまとめなおしたものです。
住まい手は建築の素人。しかも自然素材は工業製品と違ってそれ自体が生きている素材です。最近では書店にいくと色んな自然素材系の本が売っていますが、関係ない素材の情報まで載っていて欲しい情報まで行き着くのが大変です。また小難しい情報まで親切に掲載しているので余計に混乱してしまいがち。気楽に自然素材と付き合えるように、必要な素材の必要な情報だけを簡潔にまとめました。
こういった住まい手に対する情報の提供も、私の大切な仕事だと思っています。そして提供の方法を考えるのも。カタログや説明書を渡してハイお仕舞い。ではちょっと無責任な気がします。
企業ではアフターサービスは大事な営業行為ですが、私の場合はちょっと違います。せっかく星の数ほどいる設計事務所から私を選んでくれた住まい手、その住まい手のために設計した娘のような住宅に長い時間大切に住んでもらうために当たり前のように必要なことだと思うのです。もっと簡単にいうと、せっかく出会えたんだからこれからもずっと住まい手の方とは仲良くしていきたい。だからちゃんと関わり続けますよ。という私なりの意思表示なのかもしれません。
私なんかが設計できる住宅の数はたかが知れています。だからこそずっと付き合っていけるように試行錯誤して、いろんな方法を考えるのです。でもそれはまだ始まったばかり。これからもっと色々考えなくちゃいけません。
久々にまじめな話をしてしまいました。
舟木さん、ありがとうございます。大切に使わせてもらいますよ。